【2024】中古物件購入時の節税制度や補助金制度を解説

今回の記事では、中古住宅購入の際の節税について解説していきます。

全体の流れとしては以下の通りとなります。

  • 中古住宅購入時の税制優遇制度
  • 中古住宅購入時の減税制度
  • 中古住宅購入時の補助金
  • 住宅ローン控除の手続きの流れと必要書類
  • 2024年度に利用できる補助金制度と支援事業について

ここからはそれぞれについて解説していきます。

中古住宅購入時の税制優遇制度

まずは、中古住宅購入時に活用できる2つの税制優遇制度について解説します。これらの制度は大きなメリットがあり、申請が必要なため注意が必要です。

最大210万円の減税効果「住宅ローン控除」

住宅ローン控除とは、年末のローン残高の0.7%が10年間にわたり所得税などから控除される制度です。控除額の計算は以下の通りです。

ローン控除額 = 年末借入金残高 × 控除率(0.7%)

たとえば、2,000万円の住宅ローンを組み、年末の残高が1900万円の場合、その0.7%である13.3万円が所得税から控除されます。中古住宅では、適用要件を満たしていれば10年間で最大210万円の控除が可能です。

控除対象の住宅の種類と限度額

控除対象の住宅の種類については以下の通りとなります。

  • 長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅:控除対象借入限度額 3,000万円、控除期間 10年間、所得税最大控除額 210万円
  • その他の住宅:控除対象借入限度額 2,000万円、控除期間 10年間、所得税最大控除額 140万円

特定住宅の詳細

次に、特定住宅の詳細については以下の通りとなります。

  • 長期優良住宅:劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、省エネルギー性などの基準を満たす住宅
  • 低炭素住宅:二酸化炭素排出を抑えた省エネ住宅
  • ZEH水準省エネ住宅:年間の一次エネルギー消費量をゼロにすることを目指した住宅
  • 省エネ基準適合住宅:地域の省エネ基準を満たす住宅

住宅ローン控除の適用要件

次に、住宅ローン控除の適用要件としては以下の通りとなります。

  • 令和7年(2025年)12月31日までに入居すること
  • 自己の専用住宅で、床面積が原則50㎡以上であること
  • 取得の日から6ヶ月以内に自己の居住の用に供すること
  • 居住用部分が全体の2分の1以上であること
  • 昭和57年以降に建築された住宅、または新耐震基準に適合することが証明された住宅

確定申告の必要性

初年度には確定申告が必要ですが、翌年以降は年末調整で対応可能です。

住宅ローン控除の手続きの流れと必要書類

住宅ローン控除を受けるためには、入居した翌年に確定申告を行う必要があります。確定申告は初年度のみで、2年目以降は次のように対応します。会社員(給与所得者)の場合、勤務先に「特別控除申告書」と、秋ごろに金融機関から送付される「年末残高等証明書」を提出することで、年末調整により控除を受けられます。個人事業主は、毎年の確定申告時に税務署に提出します。

初年度の確定申告に必要な書類

  • 確定申告書
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 本人確認書類のコピー
  • 建物・土地の登記事項証明書
  • 建物・土地の不動産売買契約書や工事請負契約書のコピー
  • 源泉徴収票
  • 住宅ローンの年末残高等証明書

また、1982年より前に建築された中古住宅については、以下のいずれかを用意する必要があります。

  • 耐震基準適合証明書
  • 建設住宅性能評価書
  • 既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書の写し

これらの書類を揃えて、スムーズに手続きを進めましょう。

最大1,000万円が非課税「住宅取得等資金贈与の非課税特例」

この制度は、住宅取得のための贈与に対し一定額まで贈与税を課さない制度で、令和8年(2026年)12月31日までの時限措置です。贈与時期と非課税限度額は以下の通りです。

  • 2024/1/1〜2026/12/31
  • 一般の住宅:500万円
  • 質の高い住宅:1,000万円

質の高い住宅の基準とは

上記の質の高い住宅の基準としては以下の通りとなります。

  • 断熱等性能等級5以上、かつ消費量等級6以上
  • 耐震等級2〜3、または免震建築物の基準に適合
  • 高齢者等配慮対策等級3〜5

この非課税特例の適用を受けるには、贈与を受けた年の翌年の2月1日〜3月15日までに税務署に贈与税の申告書を提出する必要があります。

参考:国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

中古住宅購入時の減税制度

次に、中古住宅購入時に利用できる減税制度について説明します。

登録免許税の軽減制度

中古住宅を購入する際、特定の要件を満たす場合、建物にかかる登録免許税が軽減されます。登録免許税は、登記簿に権利を登録する際に法務局で支払う税金で、一度限りの支払いです。

登録免許税の計算方法

登録免許税の計算方法は以下の通りとなります。

登録免許税 = 土地や建物の固定資産税評価額 × 2%

軽減条件

購入した建物が以下の条件を満たしている必要があります。

  • 取得日が令和9年(2027年)3月31日まで
  • 自己居住用で床面積が50㎡以上(マンションなどの場合、居住部分が50㎡以上)
  • 昭和57年以降に建築された住宅
  • 新耐震基準に適合することが証明された住宅、または既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入している住宅(取得日から2年以内に保険契約を締結)

昭和57年以前に建築された住宅でも、新耐震基準適合証明や既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入していれば軽減税率が適用されます。証明書の発行は指定の確認検査機関や建築士事務所で依頼でき、費用は5~10万円です。

税率

  • 一般住宅(自己居住用): 税率2% → 0.3%
  • 長期優良住宅: 税率2% → 0.1%~0.2%

これらの軽減措置により、登録免許税は数万円から十数万円ほど安くなります。土地の登録免許税についても、令和8年(2026年)3月31日までに登記すれば、税率が2% → 1.5%に軽減されます。

参考:国税庁「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」

不動産取得税の軽減制度

不動産取得税は、土地や建物を取得した際に支払う都道府県税で、一度限りの支払いです。中古住宅を購入した場合、取得後に都道府県税事務所に申告します。

計算方法

不動産取得税の計算方法は以下の通りとなります。

  • 不動産取得税 = 土地や建物の固定資産税評価額 × 4%

土地と建物で軽減措置の要件や計算方法が異なります。

建物の不動産取得税軽減

建物に関する不動産取得税の軽減条件は以下の通りとなります。

  • 取得日が令和9年(2027年)3月31日まで
  • 税率が4% → 3%
  • 課税標準額からの控除が適用

その際の物件の要件は以下の通りとなります。

  • 自己居住用であること
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下
  • 1982年1月1日以降に新築された住宅、または新耐震基準に適合することが証明された住宅、既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入している住宅

控除額は都道府県によって異なりますが、以下の表の通りとなります。

建築年月日控除額
1975年12月31日以前新築当時の軽減額
1976年1月1日~1981年6月30日350万円
1981年7月1日~1985年6月30日420万円
1985年7月1日~1989年3月31日450万円
1989年4月1日~1997年3月31日1,000万円
1997年4月1日以降1,200万円

土地の不動産取得税軽減

土地の不動産取得税の軽減条件については以下の通りとなります。

・取得日が令和9年(2027年)3月31日まで
・計算式: 不動産取得税 =(固定資産税評価額×1/2)× 3% - 控除額

※ただし、控除額については下記のAもしくはBの多い金額とする
A:45,000円
B:(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2)×(課税床面積 × 2[200㎡限度])× 3%

これにより、一般的な住宅地では土地の不動産取得税がほぼ0円に近づくことも多いです。

申告は取得後約60日以内に各都道府県税事務所の窓口にて行います。

固定資産税の軽減制度

一定の要件を満たす改修工事を行うと、固定資産税が減額されます。固定資産税は毎年1月1日時点の不動産所有者に課され、市区町村税として納税通知書に基づいて支払います。

改修工事と減額割合

改修工事と固定資産税の減額の割合については以下の通りとなります。

  • 耐震改修: 改修後1年、1/2減額、120㎡まで
  • バリアフリー改修: 改修後1年、1/3減額、100㎡まで
  • 省エネ改修: 改修後1年、1/3減額、120㎡まで

これらの改修工事は令和8年(2026年)3月31日までの時限措置であり、工事費用が50万円を超えるものが対象です。長期優良住宅への改修の場合、減額割合がさらに増えます。

改修工事を行った場合は、各自治体の固定資産税課に申請が必要です。

中古住宅購入時の補助金

一部の自治体では、中古住宅の購入に際して補助金を提供しているケースがあります。ただし、すべての自治体にこの制度があるわけではないため、まずは自分が住んでいる自治体で補助金の有無を調べ、申請方法などについて確認しましょう。

補助金を受ける際には、以下の2点に注意が必要です。

確定申告時の処理

補助金を受けた場合、その金額を住宅の取得費用から控除して「住宅借入金等特別控除」を計算する必要があります。これは確定申告書を提出する際に行います。

併用不可の補助金

一部の補助金は他の補助金と併用できない場合があります。事前に確認し、併用の可否について理解しておきましょう。

これらの注意点を踏まえて、補助金制度を活用しましょう。

その他の補助金制度と支援事業

子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業は、エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯に対し、省エネ性能の高い新築住宅の取得や、省エネ改修工事への支援を行うことで、2050年のカーボンニュートラル実現を目指しています。この事業は、環境省・経済産業省・国土交通省による「住宅省エネ2024キャンペーン」の一環です。

対象者は中古住宅については、以下の条件を満たす人が対象となります。

  1. エコホーム支援事業者と工事請負契約等を締結してリフォーム工事を行うこと
    • エコホーム支援事業者は、国土交通省ほか2省のウェブサイトから検索可能です。
  2. 次のいずれかに該当する個人・法人
    • 住宅を所有し、居住する個人またはその家族
    • 住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人
    • 賃借人
    • 共同住宅等の管理組合・管理組合法人
    • 買取再販事業者(宅建事業者が売主となってリフォーム・リノベーション等を行って住宅を販売する場合)

対象となるリフォーム工事

以下のリフォーム工事が補助対象となります。

  • 断熱改修工事(必須)
    • 補助額が合計5万円以上で対象
  • 外壁、屋根・天井、床の断熱改修
  • エコ住宅設備の設置
  • 子育て対応改修(上記必須工事と同時に行う場合)
  • 防災性向上改修
  • バリアフリー改修
  • 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
  • リフォーム瑕疵保険等への加入

補助上限額

  • 子育て世帯・若者夫婦世帯: 30万円/戸
  • その他の世帯: 20万円/戸

長期優良リフォームを行う場合の上限額は以下の通りです。

  • 子育て世帯・若者夫婦世帯: 45万円/戸
  • その他の世帯: 30万円/戸

また、子育て世帯・若者夫婦世帯が中古住宅を購入する場合、上限額は60万円/戸となります。

子育て世帯および若者夫婦世帯の定義

  • 子育て世帯: 申請時点で2005年4月2日以降に出生した子がいる世帯
    • 2024年3月31日までに工事着手するものについては、2004年4月2日以降に出生した子
  • 若者夫婦世帯: 申請時点で夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯
    • 2024年3月31日までに工事着手するものについては、1982年4月2日以降に生まれた夫婦

期限

交付申請の予約は2024年3月中旬から同年11月30日まで、交付申請は同年12月31日まで可能です。ただし、予算上限に達し次第、締め切られますので早めの確認が必要です。

詳しくは、「子育てエコホーム支援事業」公式ウェブサイトで補助金の詳細や、補助金の予算消化率を確認してください。
参考:国土交通省 子育てエコホーム支援事業

先進的窓リノベ2024事業

先進的窓リノベ2024事業は、「住宅省エネ2024キャンペーン」の一環として実施されています。この事業は、断熱窓への改修を推進することで、エネルギーコストの削減、健康で快適な生活の実現、および家庭からの二酸化炭素排出量の削減を目指しています。また、断熱窓の生産効率向上を通じて、関連産業の競争力強化と成長を促進することも目的としています。

対象者

以下の条件を満たす人が対象となります。

  1. 窓リノベ事業者と工事請負契約を締結し、中古住宅の窓のリフォーム工事を行うこと
    • 窓リノベ事業者は、国土交通省などの公式サイトから検索できます。
  2. 次のいずれかに該当する個人または法人
    • 住宅を所有し、居住する個人またはその家族
    • 住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人
    • 賃借人
    • 集合住宅の管理組合・管理組合法人
    • 買取再販事業者(別の会社にリフォーム工事を発注する場合)

対象となるリフォーム工事

補助対象期間内に住宅所有者等が窓リノベ事業者に発注し、一定の性能を満たす製品を用いた以下のリフォーム工事が対象となります。

  • ガラス交換: 既存窓のガラスのみを複層ガラス等に交換する工事(補助額が合計5万円以上)
  • 内窓設置: 既存窓の内側に新しい窓を設置する、または既存の内窓を新しい内窓に交換する工事
  • 外窓交換
    • カバー工法: 既存窓枠の上に新しい窓枠を取り付けて交換する工法
    • はつり工法: 既存窓枠を取り外して新しい窓枠を取り付ける工法
  • ドア交換
    • カバー工法: 既存ドアの枠を残して取り外し、新しい枠を取り付けてドアを交換する工事
    • はつり工法: 既存ドアの枠ごと取り外し、新しい枠を取り付けてドアを交換する工事

補助上限額

  • 補助上限額: 200万円/戸
    • 開口部ごとに行った対象工事に応じた補助額の合計が交付申請額となります。

期限

  • 対象工事期間: 2023年11月2日以降に着手し、2024年12月31日までに工事が完了するもの
  • 交付申請期間: 2024年12月31日まで(予算上限に達し次第締め切り)

詳細や最新情報は「先進的窓リノベ2024事業」公式ウェブサイトで確認できます。

参考:環境省 先進的窓リノベ2024事

まとめ

いかがでしたでしょうか。

新築住宅に比べて種類は異なるものの、多くの節税制度や購入の際の補助金等の制度があることが理解できたのではないでしょうか。

実際の利用の可否については専門の金融機関や不動産業者にヒアリングをすると良いでしょう。

株式会社JR西日本イノベーションズが運営する「このび」は不動産の買取再販サービスです。

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本記事の監修

戸建買取再販事業部 事業部長森一也

鉄道を通じて地域の発展に貢献したいとの思いから、JR西日本に入社後、鉄道電気設備の維持・管理業務に携わる。
鉄道だけでなく幅広く地域の発展に貢献したいとの想いから、不動産の買取再販を行うこのびに参画。
鉄道業務で培った高い安全性・信頼性を自身の価値観とし、お客様との信頼関係構築を第一に、一人ひとりに寄り添った提案をすることを大切にしている。
このびでは営業・リフォーム・販売の経験を持ち、現在は事業統括・推進を行っている。
「このび」を通じてお客様に豊かな生活を提供することで、地域の発展に貢献したいと考えている。
子育て真っ盛りの1児の父。趣味はキャンプ。

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