【ローン返済中の住宅売却ガイド】高値でスムーズに売却するための秘訣とは?

今回は、住宅ローン支払い中に家を売却する方法について解説していきます。住宅ローンは多くの場合35年など非常に長い期間の契約となる場合が多く、その間にも家族が増えたり仕事が変わったり転勤したりと購入した際の人生プランとは良くも悪くも大きく異なることが多々あります。そんな時に自分の住まいに固執するのではなく、自宅を売却して別の住まいへと移るということを考え実行する人は少なくありません。ここからは、以下のような流れで全体を解説していきます。

• 住宅ローン支払い中に自宅を売却することはできるのか？その場合の条件とは？
• 住宅ローン支払い中に家を売却する場合のメリット・デメリット
• 住宅ローン支払い中に家を売却する場合の実際の流れ
• 住宅ローン支払い中に家を少しでも高く売却する方法

それでは早速解説していきましょう。

住宅ローン支払い中に自宅を売却することはできるのか？その場合の条件とは？

結論としては、「どんな物件でも売却すること自体は可能」です。つまり、住宅ローンがあるからと言ってその物件を売却することが出来ないという法律はありません。しかし、売却に当たっては「売却金額」と「残債務」についての比較検討が必ず必要になるのでまずはその点を解説していきます。

売却金額と残債務について

売却金額とは文字通り物件を売却する時の価格です。一方、残債務とは売却金額からローン残高を差し引いた差分のことを言います。

分かりやすく以下の表にまとめたのでそちらを見ていきましょう。

	A:売却して手元に現金が残る場合	B:売却して残債務が残る場合
①ローン残高	3000万円	3000万円
②売却金額	3500万円	2500万円
③残金（③=②-①）	+500万円	-500万円（残債務）

Aの場合にはローン残高よりも売却金額の方が多いので、売却後に手元にお金が残ることが分かります。

一方、Bの場合にはローン残高の方が売却金額よりも多いので、売却後に残債務が残るため売却に合わせて残債務を精算する必要があります。

Aの場合においては本人の意思で売却を行うことが出来ますが、Bの場合においては残債務の精算が出来ない限りは売却することは出来ません。

売却に必要な残債務の精算とは

次に、残債務の精算について解説していきます。

残債務の精算とはローン残高の方が売却金額よりも高いため発生した残債務を精算することを指します。ここでの精算としては大きく2つの種類の方法があります。

• 現金で支払う
• 売却に合わせてローンの借り換えを行う

ここからは、それぞれについて解説していきます。

現金で支払う

一番わかりやすいのはこの現金で支払うという形になります。今回の場合言うと、500万円の現金を支払うことが出来ればその時点で残債務の精算が完了することになります。ただし、自宅を売却して残債務も現金で精算するというのは余程の事情がある場合を除いてはあまりお勧めはしません。後ほど売却を考える人のケースでそんな場面を迎える人のお話もしていきます。

売却に合わせてローンの借り換えを行う

これも現実的な手段の一つで一般的な住み替えにおいて使われる手法です。

売却をしない場合のローンの借り換えとは、現在の住宅ローンの条件（金利や返済期間など）を見直し、より有利な条件の新しいローンに変更することです。メリットとしては金利の低下による返済額の削減、返済期間の短縮、または返済のしやすさの向上などがあります。

これを売却に合わせて行うことが売却に合わせたローンの組み換えとなります。

売却を考える人のケースとは

次に、実際に売却を考える人のケースについて見ていきましょう。

• 仕事の転勤で別の地域に長期での移動が発生する場合
• 家族構成が変化する場合
• 経済的な理由で住宅ローンの返済が困難になった場合
• 離婚されてしまった場合

ここからは、それぞれについて解説していきます。

仕事の転勤で別の地域に長期での移動が発生する場合

転勤による売却は住宅ローン支払い中に家を売却する中でも比較的多いと思われます。最近ではリモートワーク等も積極的に利用されているものの、メーカーや建設会社等のブルーカラーと呼ばれる職種の人々はやはり全国を飛び回りながら働くケースがまだまだ散見されます。

家族構成が変化する場合

結婚や子供の誕生などでこれまでの間取りから大きく変化を求められる際にも検討される方が多いでしょう。特に子供の誕生となるとこれまでは二人で生活していたため、利便性や職場への距離等が優先されてきた中で、子供部屋の確保や学区、公園や学童などの子育て支援施設との距離感も非常に重要な要素なってきます。

経済的な理由で住宅ローンの返済が困難になった場合

住宅ローンを組んだ際には支払いも問題ない範囲で整理していたつもりが、会社が倒産したり、業績の悪化による収入が想定通りに延びなかったり、思うように働くことが出来なくなったりと様々な理由から支払いが困難になる場合があります。別記事で支払いが滞った場合について解説している記事もあるので、そちらの参考にしてください。

離婚されてしまった場合

住宅問題と離婚は切っても切り離せない関係にあります。特に最近ではペアローンによるそれぞれが主債務者として契約を結ぶことで融資額を増やすという借入方法があります。円満に過ごし続ける場合には良い制度です。しかし、離婚となった場合には同じ家に住むことは無いですし、家を引き取った側も一人でローンを支払い続けることは困難な場合も多いため、スピーディに売却をされる方も多いというのが現状です。

住宅ローン支払い中に家を売却する場合のメリット・デメリットについて

ここからは、住宅ローンの支払い中に家を売却するメリット・デメリットについて解説していきます。何もない状態から家を売却するというケースは少なく、先ほどの例のようにそれぞれ状況が異なることから、一般的に考えられるメリット・デメリットについてそれぞれ解説していきます。

住宅ローン支払い中に家を売却するメリットとは？

メリットとしては以下のような3点が挙げられます。

• 経済的な負担の軽減
• 生活環境の変化への対応
• 資産の有効活用

ここからは、それぞれについて解説していきます。

経済的な負担の軽減

多くの場合は現在支払っているローンから別のローンへと借り換えを行っていくことを想定しているため、その際に経済的な負担の軽減、具体的には日々の支払う際の金額が下がるという点が挙げられます。他にも売却してローンの支払から賃貸に変わる際にも賃料を調整することが出来ることから、全体的な負担の軽減に繋がると考えられます。

生活環境の変化への対応

家族構成の変化があった際には大きく、生活環境の変化へ対応することが出来るメリットも挙げられるでしょう。結婚や子供の誕生などは大きなスペースが必要になるため、今の住まいから変える必要があります。一方で、離婚やけがにより今の住まいに住み続けることが困難になってしまった場合でも、同じように今後を見据えた生活へと変わっていく必要があります。

資産の有効活用

売却によって得られる資金を、他の投資や生活資金として再配分することができます。また、不動産市場の状況を見極めることで、資産価値の最大化を図ることが可能です。ただし、これは非常に稀なケースのメリットであり、このメリットのために売却を行うという人は少ないでしょう。

住宅ローン支払い中に家を売却するデメリットとは？

デメリットについて以下の2点が挙げられます。

• 残債務の整理が必要
• 売却や借り換えに関わる手数料が必要となる

ここからは、それぞれについて解説していきます。

残債務の整理が必要

住宅ローン支払い中に家を売却する場合の最大のデメリットが残債務の整理です。売却価格よりもローン残高の方が多い場合には必ず現金での支払い若しくは借り換えが必要となります。つまり、住まいという資産を手放した上で更に現金等の支出があるという非常に厳しい場合があるのです。出来る限り残債務が残っていないという状態で売却することが望ましいでしょう。

売却や借り換えに関わる手数料や税金が必要となる

不動産売却には、仲介手数料、登記費用、印紙税など様々な費用がかかります。また、仮に残債務がなく売却出来た場合でも、譲渡所得税などの税金も発生する場合があり、これらの費用が売却価格から差し引かれるため、手元に残る金額が減少することになります。

住宅ローン支払い中に家を売却する場合の実際の流れについて

次に、住宅ローン支払い中に家を売却するに当たって、実際の流れについて確認していきましょう。それぞれの流れは以下の通りとなります。

• 住宅ローン残高の確認
• 売却価格の簡易査定
• 情報公開・売買契約締結
• 売買代金からローン残高の返済、所有権移転登記、物件引き渡し

ここからは、それぞれについて解説していきます。

住宅ローン残高の確認

まず最初に、現在の住宅ローンの残高を金融機関に問い合わせて確認します。これにより、住宅ローン残高を正確に知ることで、売却によってローンを完済できるかどうかの判断基準が得られます。

売却価格の簡易査定

次に、不動産業者に依頼して、現在の市場価格に基づいた物件の簡易査定を行い、売却価格の目安を設定します。この場合多くの事業者が無償での査定を行ってくれるので複数の業者にヒアリングすることが良いでしょう。

情報公開・売買契約締結

次に、物件情報を不動産情報サイトなどに公開して買い手を募り、買い手が見つかったら価格や条件を交渉し、売買契約を締結します。この際に出来る限り高く物件を売却するための方法については後ほど解説いたします。

売買代金からローン残高の返済、所有権移転登記、物件引き渡し

最後に、売買代金の受け取り後、まずローン残高を返済し、残りの金額を受け取ります。その後、法務局で所有権移転登記を行い、最終的に物件を引き渡します。並行して次に住む場所を探したり、ローンの借り換えなどの業務も行う必要があります。

住宅ローン支払い中に家を少しでも高く売却する方法

最後に、住宅ローン支払い中に家を少しでも高く売却する3つの方法について解説していきます。

• 清掃や整理整頓を行い、内覧の際には可能な限りきれいな状態にしておく
• 日ごろから住宅に対するメンテナンスを行っておく
• 仲介だけでなく買取業者にも相談する

ここからは、それぞれについて解説していきます。

清掃や整理整頓を行い、内覧の際には可能な限りきれいな状態にしておく

売却の際には必ず買主が内覧に訪れます。その際に家がきれいな状態でないと買主に対して好印象を与えないため、整理整頓や清掃は必ずしておくようにしましょう。

日ごろから住宅に対するメンテナンスを行っておく

見た目の清掃は当たり前ですが、建物は日常のメンテナンスをどれだけ行っているかが中長期的に建物を利用する中では重要となります。例えば雑草などが生い茂って建物に覆われているような住宅は湿気が貯まるため、カビや腐食の原因となる可能性が多くあります。また、また、草の根が壁の隙間に入り込むことで、壁の構造自体を弱めることもあり得ます。見た目の問題だけでなく、建物の耐久性や安全性にも影響を与えるため、適切なメンテナンスが必要です。

仲介だけでなく買取業者にも相談する

売買に際して相談する相手は仲介業者だけではなく、買い取り業者に相談することも良いでしょう。仲介事業者の場合には数多く当たることに特化していますが、築古の戸建てなどに関しては一般の方では買い取るケースが少なく、専門の業者が買取リノベーションを行う場合の方が高く買い取ってくれる可能性もあります。

いかがだったでしょうか。

住宅ローン支払い中の家の売却すること自体は問題ないですが、その際の条件やデメリットなどを考える機会は少ないのではないでしょうか。また、自宅を高値で売却するためには日ごろのメンテナンスが重要となりますので、そのあたりについても改めて見直すきっかけになればうれしいです。