新築と中古物件のメリットとデメリットについて解説、中古物件の購入の際の注意点とは?

マイホーム購入の際、新築住宅と中古住宅のどちらにするか迷う方は多いでしょう。価格や自由度など、多くの比較ポイントがあり、決断は簡単ではありません。今回は、新築のメリットとデメリットを中古住宅と比較しながらご紹介します。

新築の定義とは?

新築とは一般的に「新しく建てられた住宅」と認識されていますが、具体的に何年以内の住宅を新築と呼ぶのでしょうか。

新築は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で以下のように定義されています。

「この法律において『新築住宅』とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。」

参考:住宅の品質確保の促進等に関する法律 第二条二項

つまり、新しく建てられて1年未満で、かつ誰も住んでいない住宅が新築と呼ばれます。誰も入居していない場合でも、建築工事の完了から1年が経過した住宅は新築とはみなされません。この「建築工事の完了の日」は、建築基準法で定められた検査が完了し、検査済証が発行された日を基準としています。

新築と中古、それぞれの選択には様々な要素が関与します。次回以降の比較ポイントとして、価格、自由度、メンテナンスの必要性など、具体的な項目について詳しく見ていきましょう。

新築住宅のメリット

多くの人が新築住宅にこだわるのは、最新の設備や高い安全性など、様々なメリットがあるからです。以下では、新築住宅の具体的なメリットについて詳しく解説します。

新しい設備で快適な生活

新築住宅は、建築時に最新の設備や建材が使用されるため、断熱性や防音性に優れ、水回りも使いやすいといった快適な住環境が整っています。住宅設備は日々進化しており、新しい家に住むことでその恩恵を最大限に受けることができます。最新の設備を備えた住宅は、生活の快適さを大幅に向上させます。

最新の耐震基準で安心

地震が多い日本では、住宅の耐震性は非常に重要です。新築住宅は、最新の耐震基準に基づいて建てられており、柱や梁の劣化もなく、高い安全性を誇ります。例えば、2016年に発生した熊本地震では、新しい住宅ほど損傷が少なかったという調査結果もあります。最新の建築材を使用することで、さらに耐震性が向上し、安心して暮らすことができます。

税制上のメリット

新築住宅には、中古住宅と比べて税制上のメリットが多くあります。例えば、住宅ローン控除では、新築住宅の場合、所得税が最大で年35万円控除されますが、中古住宅では最大で年21万円です。また、新築住宅の控除期間は13年に対して、中古住宅は10年です(2024年7月現在)。その他にも、購入後3年間の固定資産税50%減免や、登記時の登録免許税軽減など、さまざまな優遇措置を受けられます。税制上のメリットを考慮することで、新築住宅の魅力がさらに増します。

ランニングコストの抑制

中古住宅は購入時の価格が安い場合が多いですが、修繕費や設備の交換費用が後から発生することがあります。一方、新築住宅は耐久性の高い最新の建築材が使われているため、すぐに修繕が必要になることは少なく、長期的にはランニングコストを抑えられます。購入費用が高くても、長い目で見ると経済的です。

理想の間取りを実現

新築の注文住宅なら、間取りを自由に設計できます。将来の家族構成を考慮して部屋を増設できるようにする、仕事や趣味のためのスペースを設けるなど、個々のライフスタイルに合わせた家を作ることができます。中古住宅では理想の間取りを見つけるのが難しく、妥協が必要になることも多いですが、新築住宅なら自分たちのこだわりを反映した空間で生活できます。

これらのメリットを考慮しながら、新築住宅か中古住宅かを検討する際の参考にしてください。自分たちのライフスタイルや将来の計画に合った最適な選択をすることが大切です。

新築住宅のデメリット

新築住宅には多くの魅力がある一方で、中古住宅に比べて高額であり、入居後の価値低減などいくつかのデメリットも存在します。以下では、新築住宅の具体的なデメリットについて説明します。

購入価格が高い

新築住宅は、誰も使ったことのない綺麗な住まいが手に入る反面、価格が非常に高くなります。そのため、住宅ローンを組むのが難しい方や頭金を用意できない方にとっては、購入が困難です。

入居後の価値低減

新築住宅は、新たに建設され、まだ誰も住んでいない住宅を指します。しかし、入居した瞬間にその住宅は「中古」となり、価値が下がります。住宅の価値を維持したい場合は、駅や都心へのアクセスが良好な立地など、価値が下がりにくい場所を選ぶことが重要です。

完成前の購入で想像しづらい

新築住宅を購入する際、多くの場合は建物が完成していない状態で契約を結ぶことになります。図面や完成予想図だけで判断するため、日当たりや眺望、間取りの使い勝手など、実際の生活をイメージするのが難しいことがあります。できるだけ詳細な情報を収集し、慎重に検討することが必要です。

理想の条件に合う住宅の発見が難しい

理想のエリアで新築住宅を購入するのは意外と難しいことがあります。例えば、災害が少ない地域や駅近、眺望が良い場所など人気のエリアでは、購入希望者が多く、抽選での購入となることもあります。希望の条件に合う住宅を見つけるには、根気よく探す必要があります。

水道負担金や修繕積立基金が発生する

新築の一戸建てを建てる場合、上下水道をつなぐために本管から水道管を引く必要があり、「水道負担金」を市区町村の水道局に支払う必要があります。一般的な相場は以下の通りです。

  • 上水道:約33万円
  • 下水道:約15万円~30万円

また、新築マンションを購入する場合、修繕積立金の初期費用として「修繕積立基金」の支払いが発生します。金額は物件のグレードにより20万円~80万円程度で、入居時に一括で支払います。

これらのデメリットを理解した上で、新築住宅の購入を検討することが重要です。自分のライフスタイルや予算に合わせて、慎重に選びましょう。

中古住宅のメリット

中古住宅には、新築住宅に比べて価格の安さや実際の物件を確認できる点など、多くのメリットがあります。以下にその具体的な利点を説明します。

新築よりも価格が安い

中古住宅は、同じエリアや条件の新築住宅と比べると、購入価格が安いことが多いです。築年数にこだわらない方や、予算を抑えたい方にとって大きな魅力となります。

実際の住宅を確認できる

中古住宅では、契約前に内見が可能です。これにより、日当たりや間取り、設備の状態などを事前に確認できます。実際に物件を見ることで、入居後の生活をイメージしやすくなり、購入後のミスマッチを避けることができます。

リフォームで新築同様にできる

中古住宅の購入価格が安い分、余った資金をリフォームに充てることが可能です。大規模なリフォームを行えば、新築のように美しく仕上げることができます。また、間取りの変更なども自由に行え、家族のライフスタイルに合わせたカスタマイズが可能です。

中古住宅のデメリット

中古住宅には、ランニングコストや住宅ローンの審査など、いくつかのデメリットも存在します。具体的に見ていきましょう。

ランニングコストがかかる

中古住宅は購入価格が安い反面、修繕費用などのランニングコストが発生します。築15年や30年を過ぎると、水回りや壁紙の張替え、フローリングや給排水管の取り換えなど、大規模な修繕が必要になる場合があります。

住宅ローン審査が通りにくい

中古住宅は築年数が進むにつれて担保価値が下がるため、住宅ローンの審査が通りにくくなる傾向があります。購入を検討する際は、事前に仮審査を受けることをおすすめします。

構造部分の確認が難しい

中古住宅では、新築時の図面や資料が残っていないことが多く、目に見えない部分の状態を把握するのが難しいです。特に以下の箇所は、耐震性や雨漏りなどをチェックするために重要です。

  • 床下
  • 屋根裏
  • 柱および梁
  • 給排水設備
  • 基礎
  • 内壁

安心して購入するためには、専門家による「ホームインスペクション」を依頼し、詳細な調査を行うことが推奨されます。

中古住宅購入時の注意ポイント

中古住宅購入においてはいくつか注意すべきポイントがあり、具体的には以下の通りとなります。

  • 構造上の問題はあるか?
  • 雨漏りやシロアリの被害はないか?
  • 耐震基準に問題はないか?
  • 断熱性能に問題はないか?
  • 水まわりの劣化、不備はないか?
  • 建物の間取りはおかしくないか?
  • リフォーム、修繕費用について
  • 周辺環境について

ここからはそれぞれについて解説していきます。

構造上の問題はあるか?

2000年(平成12年)から一戸建て住宅に地盤調査が義務付けられました。1981年(昭和56年)の新耐震基準が注目されますが、それ以前の建物は地盤の影響で傾斜していないかを確認しましょう。また、特に木造住宅は経年により床にたわみが生じることがあります。傾斜やたわみが生活に支障をきたさないか確認が必要です。

雨漏りやシロアリの被害はないか?

新築時の雨漏り保証は一般的に10年、シロアリの保証は5年です。保証期間を過ぎると防水性能や防蟻処理の効果が低下し、雨漏りやシロアリの被害リスクが高くなります。屋根の塗装や葺き替え、シロアリ防除の薬剤塗布を定期的に行い、防水性能や防蟻性能を保持しているか確認しましょう。

耐震基準に問題はないか?

日本では大地震の度に建築基準法が改正されています。1981年の新耐震基準(宮城県沖地震の影響)や2000年の基準改正(阪神淡路大震災の影響)など、建築時期により耐震性能が異なります。古い基準で建てられた建物は耐震性が低いため注意が必要です。

断熱性能に問題はないか?

一戸建て住宅の断熱性能は法令で義務付けられていませんが、省エネルギーやヒートショック対策のため、住宅金融公庫の仕様やフラット35の仕様により断熱性能を取得している建物もあります。築年数が古いと断熱性が低い可能性があるため確認が必要です。

水まわりの劣化、不備はないか?

キッチン、浴室、洗面所、トイレは使用により摩耗し、給水管や給湯管が金属の場合は錆が付くこともあります。年月が経つと防水箇所も劣化し、水漏れなどの不具合が生じることがあります。中古住宅では、引き渡し後に交換予定がなく継続使用する場合、使用状態をしっかり確認しましょう。

建物の間取りはおかしくないか?

主に過ごす部屋から水まわりや屋外への動線を確認しましょう。家族とのコミュニケーションや日常生活を想定して、間取りがライフスタイルに合っているか検討する必要があります。また、木造住宅では構造上、簡単に壁の位置を変更できないため、構造を無視したリフォームは耐震性を損なう恐れがあります。特にリフォーム事業は法整備が不十分なため注意が必要です。

リフォーム、修繕費用について

中古住宅には必ず劣化や不具合があります。リノベーションやリフォーム物件でも、工事範囲の確認や将来の修繕費用の見込みを立てておく必要があります。修繕のタイミングと費用を把握することで、予算内で購入できるか理解しやすくなります。引き渡し後にリフォームを予定している場合は、あらかじめ見積もりを取っておくと出費の見込みが立ちやすいです。

周辺環境について

周辺の建物が低層で見晴らしが良くても、新しい建物が建つことで状況が変わる可能性があります。どのような建物が建てられるか、用途や高さは都市計画や条例で決まっているため、現在の環境が維持されるかどうかを予測できます。また、テレワークが普及している現状でも、将来の働き方を考慮し、職場と相談したうえで住むエリアを決めることが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事では新築と中古のメリットとデメリットについて解説してきました。

また、中古住宅を購入する際の注意点についても細かく解説してきました。

昨今の情勢では新築のマンションや戸建の価格が上がる一方で、中古住宅の市場も伸びてきています。

一方で、中古住宅の場合、補償や保険などが効きづらい部分があり、心配性な方はお金を掛けてでも安心を取るために新築を購入するケースも少なくないのではないでしょうか。

株式会社JR西日本イノベーションズが運営する不動産の買取再販サービス「このび」では、市場で買取が難しい中古住宅を中心に不動産買取を行っています。

自宅の売却に関する相談がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

本記事の監修

戸建買取再販事業部 事業部長森一也

鉄道を通じて地域の発展に貢献したいとの思いから、JR西日本に入社後、鉄道電気設備の維持・管理業務に携わる。
鉄道だけでなく幅広く地域の発展に貢献したいとの想いから、不動産の買取再販を行うこのびに参画。
鉄道業務で培った高い安全性・信頼性を自身の価値観とし、お客様との信頼関係構築を第一に、一人ひとりに寄り添った提案をすることを大切にしている。
このびでは営業・リフォーム・販売の経験を持ち、現在は事業統括・推進を行っている。
「このび」を通じてお客様に豊かな生活を提供することで、地域の発展に貢献したいと考えている。
子育て真っ盛りの1児の父。趣味はキャンプ。

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