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不動産を担保にしてお金を借りる場合、その不動産には抵当権が設定されます。抵当権は、借金をきちんと返済している限り、所有者に特に大きな問題を引き起こしません。
しかし、返済が滞ると、抵当権が実行され、最終的には競売にかけられる可能性があります。
この記事では、抵当権の基本概念、根抵当権との違い、および抵当権の設定・抹消の流れについて詳しく解説します。
目次
抵当権は、住宅ローンなどを借りる際に、金融機関(債権者)が債務者に対して不動産を担保として設定し、万一債務不履行となった場合に、その不動産から優先的に弁済を受けることができる権利です。
抵当権を理解するためには、「債務者」と「債権者」という用語を知る必要があります。
簡単に言えば、抵当権は不動産を担保にしてお金を借りる際に設定される権利です。抵当権者(担保を持つ債権者)は銀行などの金融機関で、抵当権設定権者が物件の所有者ということになります。つまり、不動産を差し出さずにお金を借りることができ、返済が順調であれば、その不動産を自由に使用できます。
抵当権に似た担保権として質権があります。質権は、担保物を債権者に引き渡して設定する権利です。例えば、質屋に高級時計を質入れする場合、その時計を質屋に渡してお金を借ります。返済ができれば時計を取り戻せますが、返済できなければ質屋が時計を売却して債権を回収します。
不動産は移動できないため、質権ではなく抵当権が用いられます。抵当権は占有を移さずに担保設定が可能です。
抵当権に似たものに、根抵当権があります。根抵当権は、極度額(優先弁済を受けられる最大限度額)の範囲内で複数回の貸し借りが可能な抵当権です。特に法人や商売を行う個人が利用しやすく、頻繁に銀行との貸し借りを行う場合に便利です。
例えば、工事会社が材料費の支払いのために一時的に借金し、顧客からの入金後に返済するケースなどで利用されます。根抵当権を設定すれば、上限額の範囲内で自由に貸し借りができ、抵当権の設定や抹消の手間を省けます。
住宅ローンなどのように頻繁に貸し借りを行わない場合は、通常の抵当権で十分です。住宅ローンは一般的に長期間(例: 35年)借りるため、その期間内で抵当権が維持されます。
抵当権は、債務者が約定通りに返済を行っている限り問題はありませんが、返済が滞ると抵当権が行使されます。抵当権の実行とは、債権者が担保物件を裁判所の手続きにより差し押さえ、競売にかけることです。競売で売却された不動産から債権者は優先的に弁済を受けます。
競売によって不動産が売却されると、元の所有者は所有権を失い、不動産から退去せざるを得なくなります。
ここからは抵当権を設定するタイミングについて説明します。
抵当権は、融資が実行される際に設定されます。ここでは、個人がマイホームを購入する場合の手続きの流れを解説します。
住宅ローンを利用する際には、まず融資が受けられるかどうかの仮審査(事前申し込み)を行います。
仮審査で融資が承認されたら、売買契約を結びます。売買契約時には手付金を支払いますが、この時点では住宅ローンの融資はまだ実行されません。
売買契約の後、住宅ローンの本申し込みを行います。この際には、売買契約書や重要事項説明書などの書類が銀行に提出されます。
融資の実行は決済の日に行われます。この日に、手付金を除いた残金を支払い、買主に所有権が移転し、物件の引き渡しが完了します。同時に、所有権移転の登記と抵当権の設定登記が行われます。
抵当権を設定する際に法務局に提出する資料は以下の通りです。抵当権を設定する方(債務者)を抵当権設定者と呼びます。
書類名 | 概要 |
---|---|
登記申請書 | 法務局備え付けの申請書 |
登記済証または登記識別情報通知 | 購入した不動産のもの |
登記原因証明情報 | 金銭消費貸借兼抵当権設定契約書など(金融機関が用意) |
印鑑証明書 | 抵当権設定者のもの(3ヵ月以内) |
委任状 | 司法書士に依頼する場合 |
次に、抵当権設定に掛かる税金と費用については以下の通りとなります。
項目 | 費用 |
---|---|
登録免許税 | 債権金額の0.1% ※ |
収入印紙代 | 金銭消費貸借契約書に貼る印紙1,000万円超5,000万円以下なら2万円5,000万円超1億円以下なら6万円 |
登記事項証明書の発行手数料 | 600円(書面請求) |
印鑑登録証明書の発行手数料 | 一般的に300円 |
司法書士報酬費用(司法書士に依頼した場合) | 3.5~7万円程度 |
ここでは、抵当権付き不動産を相続や売却する際の手続きについて解説します。
抵当権付き不動産を相続する際、相続人はその抵当権にどう対処すれば良いのでしょうか。以下の条件ごとに説明します。
団体信用生命保険とは、債務者が死亡した際や高度障害になった際に住宅ローンが完済される保険です。被相続人(故人)がこの保険に加入している場合、残債が完済されるため、抵当権を抹消することができます。
相続放棄を行うと、プラスの財産(現金や土地など)もマイナスの財産(借金など)も全て放棄できます。相続放棄をすることで、借金も引き継がず、抵当権の付いた不動産も引き継ぎません。ただし、相続放棄は相続開始を知った日から3ヵ月以内に行う必要があります。
限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する制度です。限定承認も相続放棄と同様、相続開始を知った日から3ヵ月以内に手続きを行う必要があります。
一方、単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐことです。債務を引き継ぐ場合は、銀行に連絡して債務の引き受け手続きを行い、債務者を変更します。
抵当権付き不動産を売却する場合の手続きについても解説します。
抵当権付き不動産を売却する際には、売却代金からローンの残債を返済し、抵当権を抹消する必要があります。売却の際は、買主に不動産が抵当権付きであることを説明し、売却代金の一部をローンの返済に充てる手続きを行います。
売却時には、債権者(金融機関)との交渉が必要です。売却代金がローンの残債を下回る場合、差額の返済方法について話し合う必要があります。場合によっては、債権者が残債の一部を免除することもありますが、これはケースバイケースです。
不動産を売却し、抵当権が抹消された後は、売買契約の内容に従って物件の引き渡しを行います。また、売却後の所得に関しては税務申告が必要になる場合もあるため、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
これらの手続きを踏まえ、抵当権付き不動産の相続や売却に備えて適切な対策を講じましょう。
ここでは、抵当権を抹消するための手続きや必要な書類、費用について解説します。
不動産の売却と同時に抵当権を抹消する場合、手続きを不動産会社が手配した司法書士に依頼することが一般的です。売却時の抵当権抹消の流れは以下の通りです。
抵当権を抹消するために必要な書類は以下の通りです。
書類名 | 概要 |
---|---|
抵当権解除証書 | ローンが完済されたことを証明する書類 |
金融機関発行の委任状 | 所有者に抹消登記を委任するための書類 |
抵当権設定登記済証または登記識別情報通知書 | 抵当権設定時に銀行が受領した書類 |
代表者事項証明書 | 抵当権者の代表者を証明する書類(発行後3ヵ月以内) |
履歴事項証明書 | 登記記録上の情報と現在の情報が異なる場合に必要な書類 |
抵当権抹消にかかる税金や費用は以下の通りです。
項目 | 費用 |
---|---|
登録免許税 | 不動産1個につき1,000円 |
抵当権抹消確認費用 | 登記事項証明書の取得で1通600円(書面請求) |
司法書士報酬費用(司法書士に依頼した場合) | 1万円~3.5万円程度 |
抵当権抹消にかかる税金や費用については、必ず税理士に相談しましょう。
住宅ローンの返済が厳しくなった場合、まずは銀行に相談し、条件変更をしてもらうことが適切です。条件変更とは、ローンの返済期間を延長し、毎月の返済額を減らすことです。リスケ(リスケジュールの略)とも呼ばれ、例えば1年間だけ毎月の返済額を半額にするなどの調整が可能です。
任意売却とは、競売以外の手法で債権者のために行う売却です。一方、リースバックとは、不動産会社(リースバック会社)に物件を売却し、その後も家賃を払って住み続けられる売却方法です。
競売は入札形式で売却されるため、買主が誰になるかわかりません。しかし、任意売却では通常の売却と同様に市場に物件を出し、買主を指定することができます。リースバック会社を買主に指定すれば、任意売却とリースバックをセットで利用でき、売却後も現在の家に住み続けることが可能です。
ただし、任意売却を行うには債権者の合意が必要であり、不動産会社(リースバック会社)への売却見込み額がローン残債額を下回る場合、売却できない恐れがあります。
これらの手続きを通じて、抵当権付き不動産の相続や売却に対する適切な対策を講じましょう。
いかがでしたでしょうか。
ここまで、抵当権について解説してきました。抵当権とは、債権者が担保物件から優先的に弁済を受けることができる権利です。借金を約束通り返済していれば問題はありませんが、返済が滞ると最終的には競売にかけられることになります。
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鉄道を通じて地域の発展に貢献したいとの思いから、JR西日本に入社後、鉄道電気設備の維持・管理業務に携わる。
鉄道だけでなく幅広く地域の発展に貢献したいとの想いから、不動産の買取再販を行うこのびに参画。
鉄道業務で培った高い安全性・信頼性を自身の価値観とし、お客様との信頼関係構築を第一に、一人ひとりに寄り添った提案をすることを大切にしている。
このびでは営業・リフォーム・販売の経験を持ち、現在は事業統括・推進を行っている。
「このび」を通じてお客様に豊かな生活を提供することで、地域の発展に貢献したいと考えている。
子育て真っ盛りの1児の父。趣味はキャンプ。