相続した家に共同名義人がいたらどうすればいい?具体的な手続きと注意点を解説
共有名義の家を相続する場合、共有持分を相続登記する必要があります。ただし、共有名義人と持分を明確にして慎重に対応しないとトラブルになる恐れもある...
今回の記事では、後悔しないための不動産相続について解説していきます。
相続は親族が無くなった後、被相続人が所有する財産について遺言及び相続人同士の協議によって誰に何を与えるかを決定し相続することを指します。
この際、特に問題になるのが「不動産」です。
理由としては、現金、株券等の他の動産については、以下の点で相続の分与において優れていると認識されております。
これは相続の場面では非常に重要なことです。
なぜなら、現金1,000万円とある不動産を比較した際にどちらに価値があるのかはすぐには判断がつきません。
不動産の場合は、査定を行いそれが査定通りに売れることで初めて公正な比較が出来るようになります。
このように不動産の相続においては通常の不動産売却よりも気を使う部分が多いため、流れや失敗しないための施策を解説していきます。
目次
被相続人が亡くなると相続が開始されます。
この相続が開始されるという意味は、物理的に相続という行為が始まるというより、概念として被相続人及び相続人との関係性が発生するという意味です。
そのうえで相続後の流れについて解説していきます。
全体の流れとしては以下の通りとなります。
ここからはそれぞれについて解説していきます。
不動産の売却に当たっては、まず遺言書が存在するかどうかについて確認する必要があります。
遺言書とは、故人が自分自身の財産を誰にどう残すかを意思表示したものです。
遺言書には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
それぞれ個別の要件があり有効ですが、法的な要件を満たすという条件で公正証書遺言が多い傾向にあります。
ここからは遺言書があった場合と無かった場合で流れが異なるためそれぞれの場合について解説していきます。
遺言書がある場合は、個人の財産について被相続人(故人)の遺言書の内容に沿って分割されることになります。
遺言書によっては、具体的な割合が示されていなかったり、特定の人を指名してその人が割合などを一任して決める等の場合があります。
先ほどの説明の通り遺言書には3つの種類がありますが、公正証書遺言についてはそのまま開封しても有効です。
一方で、自筆証書遺言と秘密証書遺言については開封の際に家庭裁判所の検認を受ける必要があるので、遺言書がどの種類のもので、どのような手続きがこの後必要になるかはよく確認しましょう。
遺言書が無い場合は、遺産の分割は民法で定められた相続人によって決められます。民法では、以下の通りに相続の順位が定められています。
順位 | 概要 |
---|---|
第1順位 | 死亡した人の子供 |
第2順位 | 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母) |
第3順位 | 死亡した人の兄弟姉妹 |
ドラマなどでよくある内縁の妻やお手伝いさんが急に相続人として現れるというストーリーがありますが、彼等はあくまでも遺言書が存在する場合に限り相続人になりうるため、遺言書が無い場合の法定相続人にはならないという点を理解しておきましょう。
次に遺産分割を行っていきます。
先ほども説明した通り遺言書がある場合は遺言書に従い相続を進めていきますが、遺言書が無い場合は遺産分割行儀によって財産の分割方法を決めていきます。
相続には以下の4種類の方法があり、それぞれのメリット・デメリットについては以下の通りとなります。
分割方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
現物分割 | ・分かりやすい ・手続きが簡単 ・特例を使うと相続税を節税できる | ・不公平になることがある ・遺産の評価などで揉める可能性がある |
換価分割 | ・公平に遺産分割が出来る ・資金がなくてもできる | ・手間がかかる ・経費がかかる ・所得税がかかることがある |
代償分割 | ・公平に遺産分割が出来る ・不動産を売却しなくてよい ・特例を使うと相続税を節税できる | ・多額の代償金が必要になることがある ・代償金の算出で揉める可能性がある |
共有分割 | ・公平感がある ・費用や手間がかからない | ・管理が難しい ・売却しにくくなる ・第二相続などで権利が複雑化する |
ここで不動産を誰の所有物とするかが課題となりますが、他の資産と比較して分割が容易ではないので分割方法が異なってきます。
親族間での遺恨を残さないという観点で考えると現物分割か換価分割がおすすめの方法となります。
ここでは、現物分割と換価分割について解説していきます。
現物分割とは、家、土地、現金、有価証券等をそれぞれ、妻が家、子供が土地、父と母が現金等といったようにそれぞれの財産を単独保有するという方式です。
不動産の売却に関して最大のメリットは単独名義で売却できるという事です。
売却においては、複数人で所有又は共有している場合は複数人又は全員の同意が必要となりますが、単独名義の場合はその人の独断で判断が出来るので、売却がスムーズに行えるということがポイントです。
換価分割は不動産を含む相続財産を全てお金に変えてから相続分を分配するという方法です。
この場合、売却が完了すると全てお金という状態にして分配が出来るのでもめごとが少ないことが特徴です。
ただし、相続後に売却をするにあたって、暫定的に実家を共有名義にする必要があり、その間に他の共有者が売却に反対する場合は売却が出来なくなってしまうという懸念があります。
遺産方法も決まったので、不動産の名義変更に移っていきます。
名義変更には所有権移転登記が必要となります。
相続において名義変更に必要な書類は以下の通りとなります。
書類名 | 取得場所 |
---|---|
相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村の役場 |
相続人全員の住民票の写し | 市区町村の役場 |
死亡した方の出生から死亡までの戸籍謄本又は除籍謄本 | 市区町村の役場 |
固定資産評価証明書 | 市区町村の役場 |
相続関係説明図 | 自分で作成 |
登記申請書 | 法務局 |
所有権移転登記は、申請者の最寄りの登記所では申請できないため、不動産の所在する地域を管轄する法務局で申請が必要です。
また、所有権移転登記には登録免許税がかかります。
登録免許税は固定資産税評価額と税率を掛け合わせ算出され、相続の場合税率は0.4%となります。
例として固定資産税評価額が2,500万円の不動産であれば、登録免許税はおおよそ10万円となります。
また、名義変更での必要な申請書作成には専門知識と労力が掛かるため、多くの方は司法書士に依頼します。
不動産の規模にもよりますが、固定資産税評価額が2,500万円程度であれば約10万円程度が追加で掛かると認識しておきましょう。
相続後に売却する前の最後の作業として土地境界の確認があります。
これは隣地との土地境界が明確になっているかどうかを確認する作業で、比較的新しい物件(おおよそ築30年以内)であれば土地境界が確定していますが、それ以前の物件もしくは中古で購入した物件等の場合には隣地との境界確定が済んでいないことがあります。
まず確定測量図と呼ばれる測量図があるかどうかを確認しましょう。これがあれば境界画定は済んでいるため、売却へと向かっていけます。
確定測量図が無い場合には、境界線ごとに筆界確認書又は境界標があるかどうか確認しましょう。
筆界確認書とは対象の隣地との境界線が確認されている書類をさします。
境界標とは、石やコンクリート等で打ち込まれたしるしのことで、それぞれを繋ぎ合わせることで境界が明確になることを確認したものです。
これらの書面が一切ない場合には、改めて確定測量を行う必要があります。
確定測量には測量士へ依頼するだけでなく、隣接する所有者や道路を管理する行政等と立ち会いが必要となります。
ただし、この確定測量図や境界が明確になっていないと売却できないかというとそうではありません。
中古物件の多くは境界確定が出来ていない状態で売買が行われています。ただしその分割安な売却価格になってしまうので、少しでも高値で売却したい場合は、境界確定を行うことをおすすめします。
相続が始まったことを知った翌日から10か月以内には、相続税の申告と納付を税務署に完了させる必要があります。
申告期限を逃したり、納付額が足りない場合は、延滞税や加算税が課される可能性があるため、期限内の適切な手続きが重要です。
ここからは相続した不動産を売却する際に気を付けることを解説していきます。
相続した不動産は通常の不動産売却に比べて気を遣う部分が多いため、特に気を付けるべき3つのポイントは以下の通りとなります。
ここからはそれぞれについて解説していきます。
相続不動産の売却から生じた利益については、翌年2月中旬から3月中旬に確定申告が必要です。
この申告により、条件に応じて税金の特例を適用できる場合がありますので、確定申告を忘れずに行いましょう。
一方で、売却によって損失が発生した場合も、確定申告をすることで税負担が軽減される可能性があります。
不動産会社や税理士と相談しながら適切な手続きを進めることが重要です。
相続人が多い場合は話し合いが長引くことがありますが、十分な話し合いがないと後でトラブルが発生するリスクがあります。
そのため、相続については早めに話し合いを進めることが望ましいです。
感情が高ぶりがちな際には、弁護士や司法書士などの中立的な第三者を交えて、冷静な話し合いの場を設けることが重要です。
不動産を売却する際は、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。
特に遠方にある不動産を相続した場合、市場価格を正確に把握するために査定が重要です。
一社のみに依頼すると、他社との価格比較ができず、適正価格を知ることが困難になるため、複数社に査定を依頼することでより適切な価格設定が可能になります。
これにより、自分にとって最適な会社を選ぶことが容易になります。
いかがでしたでしょうか。
相続の際には故人とのお別れや親族との会話に加えて財産の整理など骨の折れる仕事が多いですが、一方で少しの知識があるだけで回避できる節税対策も多いです。
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鉄道を通じて地域の発展に貢献したいとの思いから、JR西日本に入社後、鉄道電気設備の維持・管理業務に携わる。
鉄道だけでなく幅広く地域の発展に貢献したいとの想いから、不動産の買取再販を行うこのびに参画。
鉄道業務で培った高い安全性・信頼性を自身の価値観とし、お客様との信頼関係構築を第一に、一人ひとりに寄り添った提案をすることを大切にしている。
このびでは営業・リフォーム・販売の経験を持ち、現在は事業統括・推進を行っている。
「このび」を通じてお客様に豊かな生活を提供することで、地域の発展に貢献したいと考えている。
子育て真っ盛りの1児の父。趣味はキャンプ。