老後の家の住み替えを検討!タイミング、物件選び、失敗しないためのポイントを解説

老後の住み替えで失敗したくないと思っていても、どこに注意を払えばよいのか悩んでいる方も多いでしょう。

この記事では、老後の住まいとして考えられる選択肢や、住まい選びで重視すべきポイントを詳しく解説します。また、失敗しないための注意点も紹介しますので、老後の住まい選びに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

老後の住み替えを検討するタイミング

まず、多くの方がどのようなタイミングで住み替えを検討しているのかを、物件取得年齢と年収の観点から見ていきましょう。

国土交通省住宅局の「令和4年住宅市場動向調査報告書」によると、住宅ごとの一次取得者(初めて物件を購入する方)の平均年齢は以下の通りです。

住宅の種類平均年齢
注文住宅39.5歳
分譲戸建住宅37.5歳
分譲集合住宅39.9歳
既存(中古)戸建住宅43.6歳
既存(中古)集合住宅43.7歳
※注文住宅のみ全国を対象に調査、その他は三大都市圏での調査

参考:国土交通省 住宅局「令和4年 住宅市場動向調査報告書

一次取得の場合、新築物件は30代後半の方が購入する傾向があり、中古物件は40代前半の方が購入する傾向があります。

次に、二次取得者(買い替えをする方)の平均年齢は以下の通りです。

住宅の種類住宅の種類
注文住宅59.9歳
分譲戸建住宅48.3歳
分譲集合住宅58.1歳
既存(中古)戸建住宅52.5歳
既存(中古)集合住宅53.6歳

参考:国土交通省 住宅局「令和4年 住宅市場動向調査報告書」

一次取得と二次取得の平均年齢を比較すると、住宅ローンを完済、もしくは完済が見えてきた時期に住み替えを行うケースが多く、ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて住宅を買い換えていることがわかります。

次に、年収との関係を見てみましょう。

一次取得の場合、分譲集合住宅(新築マンション)を購入している世帯の平均年収が一番高く923万円、次に高いのが注文住宅の購入世帯で784万円です。一方、中古物件を購入している世帯の平均年収は600万円台となっています。

住宅の種類世帯の平均年収
注文住宅784万円
分譲戸建住宅722万円
分譲集合住宅923万円
既存(中古)戸建住宅682万円
既存(中古)集合住宅609万円

参考:国土交通省 住宅局「令和4年 住宅市場動向調査報告書」

二次取得者の場合、最も世帯年収が高かったのは注文住宅の1,270万円で、次に高いのが分譲集合住宅(新築マンション)の1,085万円です。中古物件を購入している世帯の平均年収は800~900万円台となっています。

住宅の種類世帯の平均年収
注文住宅1,270万円
分譲戸建住宅880万円
分譲集合住宅1,085万円
既存(中古)戸建住宅975万円
既存(中古)集合住宅830万円

参考:国土交通省 住宅局「令和4年 住宅市場動向調査報告書」

二次取得者の平均年齢と平均年収を踏まえると、ある程度年齢を重ねて金銭的に余裕が出てくる60歳前後のタイミングで住み替えを検討していることが推測できます。

老後の住まいの選択肢は?

老後の住まいには、シニア向け住宅や二世帯住宅など様々な選択肢があります。ここでは、それぞれのメリットや注意点を解説します。

シニア向け住宅への住み替え

シニア向け住宅は、自立した高齢者から要支援の高齢者まで幅広く対応しています。食事や掃除のサポートがあり、施設スタッフも常駐しているため、安心して暮らせるのが魅力です。

しかし、食事代や各種サービス料などの月額費用は10〜30万円程度かかるため、老後資金を十分に蓄えておく必要があります。

マンションや戸建への住み替え

マンションから戸建、もしくは戸建からマンションへの住み替えは住環境が変わるため、事前に生活スタイルを想定しておくことが重要です。それぞれのメリットと注意点を確認しましょう。

マンションに住み替える場合

マンションは駅近で利便性が高く、オートロックや管理人が常駐している場合、防犯面でも安心です。戸建に比べてコンパクトな間取りで、家事の動線が短いのもメリットです。また、共用部の清掃が不要で、24時間ゴミ出しができるマンションもあります。

一方で、隣家との距離が近いため生活音が気になる可能性があります。また、管理費や修繕積立金、駐車場代がかかるため、事前に費用を試算しておく必要があります。さらに、マンションは集合住宅のためリフォームに制限があることも理解しておきましょう。

戸建に住み替える場合

戸建は隣家との距離があり、プライバシーを保ちやすいのが特徴です。リフォームや改装が自由で、ペットも制限なく飼育できます。ただし、駅からの距離によっては車やバスを利用する必要があり、セキュリティ面の配慮も必要です。管理費や修繕積立金は不要ですが、修繕費用は計画的に積み立てておくことが大切です。

二世帯住宅へのリフォーム

既存の住宅の大きさや子世帯の希望に応じて、二世帯住宅へのリフォームも考えられます。完全分離タイプや水回りを共用するタイプなど、様々な間取りプランがあります。子世帯が近くに住む安心感はありますが、生活スタイルが異なる場合はお互いに負担になることもあるため、よく話し合って決定することが重要です。

バリアフリーリフォーム

老後も現在の住環境を維持したい場合、バリアフリーリフォームを検討するのも一つの方法です。例えば、浴室に手すりを設置したり、段差をなくしたりするリフォームがあります。バリアフリーリフォームは補助金の対象になることもあるため、リフォーム会社や工務店に相談してみましょう。

これらの選択肢を検討し、自分のライフスタイルや予算に合った住まいを見つけてください。

老後の住み替えにおける物件選びのポイント

老後の住み替え先を選ぶ際、どの基準で選択すべきかを考えてみましょう。国土交通省住宅局がまとめた「平成30年住生活総合調査結果」に基づき、高齢者(単身・夫婦)が重視する住宅および居住環境のチェックポイントを紹介します。

住み替えにおける注目すべき主な項目について

単身、夫婦世帯共に上位に挙げられた項目は以下の通りです。住宅の性能面だけでなく、周辺環境も重視する必要があります。

【周辺環境】

  • 日常の買い物の利便性
  • 治安
  • 医療・福祉・文化施設の利便性
  • 災害時の避難のしやすさ
  • 福祉・介護の生活支援サービス
  • 道路歩行時の安全性

【住宅】

  • 地震時の安全性
  • 日当たり
  • 防犯性
  • 高齢者への配慮(段差がない等)
  • 台風時の安全性
  • 火災に対する安全性
  • 周辺環境について

周辺環境は自分で変えることができないため、物件購入時には周辺の施設やインフラをよく確認することが大切です。老後の生活を考えると、駅や商業施設だけでなく、医療や福祉、介護サービス施設が近隣にあることが重要です。

例えば、病院まで徒歩で行けるかどうか、またはバスの利用が必要かなども重要な要素です。現在は車を運転できても、将来は免許を返納する可能性もあるため、あらゆる状況を想定して周辺環境を確認しましょう。

住宅について

住宅はリフォームで改善できる部分もありますが、日当たりや台風時の安全性などは自分では改善できないため、選択時に慎重に検討する必要があります。老後の住み替えでは居住性だけでなく、安全性も重視しましょう。

自然災害については、自治体が公表するハザードマップを事前に確認することをお勧めします。台風による洪水や浸水、液状化や崖崩れのリスクも自治体のホームページで調査できます。

新築か中古かについて

シニア世代が住宅を購入する際、新築と中古のどちらを選ぶか迷うこともあります。

新築マンションの特徴としては以下の通りとなります。

  • 不動産会社から直接購入するため、仲介手数料がかかりません。
  • リフォームが不要で購入時の経費を抑えられます。
  • ただし、中古マンションに比べて購入価格が高い傾向があります。

一方、中古マンションの特徴としては以下の通りとなります。

  • 仲介手数料がかかりますが、価格帯に幅があり予算に応じた物件を見つけやすいです。
  • しかし、築年数によっては大規模修繕や建て替えのタイミングで修繕積立金が足りず、追加で一時金が発生することもあります。購入時には修繕積立金の総額や大規模修繕の予定を確認しましょう。

次に新築戸建てについての特徴は以下の通りとなります。

  • 新築の場合は指針の設備が導入されており、断熱性やエネルギー効率がよく設計ができる
  • 資金に余裕がある場合は、バリアフリー設計や手すりの設置、使いいやすい浴室とトイレなどのより住みやすい家を立てることも可能でしょう
  • 一方、新築する場合には資金が必要となる上、ローンなどを組むのが難しいため自己資金に余裕をもって取り組むとよいでしょう

最後に中古戸建てについての特徴は以下の通りとなります。

  • 新築の戸建てに比べるとコストが抑えられること
  • 一方で、老後に生活するうえでは設備が古いため場合も多く、リフォームに資金が必要になる場合もあるため、内覧をきちんと行い、周辺環境も含めて、老後に長く住むことができるかどうかを判断しましょう。

賃貸か持ち家かについて

賃貸では、月々の家賃や更新料がかかりますが、退去時には原状回復費用を差し引いた敷金しか戻りません。

一方、持ち家の場合は住宅ローンを支払いながら資産形成ができます。資産価値を考慮すれば持ち家の方がお得です。

しかし、シニア世代では長期間のローンを組めないこともあります。

また、住宅ローンの返済が難しくなった場合、まずは金融機関に返済計画の見直しを相談しましょう。また、健康状態の悪化などで保険金や補助金が受け取れる場合もあるため、条件次第では支援を受けることも考慮に入れておくと良いでしょう。

老後の住み替えで失敗しないためのポイント

老後の住み替えを成功させるために、以下のポイントを押さえておきましょう。これから住み替えを検討される方は、ぜひ参考にしてください。

住み替えのスケジュールを把握する

住み替えには、自宅を先に売却する「売り先行」と、新居を先に購入する「買い先行」の2つの方法があります。

売り先行

売り先行の場合は売買代金が確定してから新居を購入するため、資金計画が立てやすいのがメリットです。

しかし、自宅を引き渡してから新居を購入するため、仮住まいが必要になることがあります。また、引越しが2回になるため、その分費用と労力がかかります。

買い先行

買い先行の場合は先に新居を購入するため、仮住まいが不要で引越しは1回で済みます。

自宅の住宅ローンを完済している場合は新たな住宅ローンを借り入れできますが、残債がある場合は自己資金で完済しなければなりません。

残債が残っている場合は住み替えローンを利用する方法もありますが、借入金額が高くなり審査が難しいことがあります。

家族と間取りを相談する

住み替え先の間取りは、必ず家族と相談しましょう。特に戸建からマンションなど異なるタイプの住宅に引越す場合、生活動線が変わります。内覧時には、生活動線が負担にならないかなどを家族と一緒に検討することをお勧めします。

リバースモーゲージを活用する

リバースモーゲージは、自宅を担保にして老後資金を借り入れる金融商品です。毎月の支払いは利息のみで、借入人が死亡した際に自宅を売却して借入金を返済します。

自宅に住み続けられるメリットがありますが、長生きした場合は借入資金を使い切る恐れがあります。また、金利変動や担保評価の下落などのリスクもありますので、詳しくは金融機関に相談してください。

現実的な資金計画を立てる

住み替えには、売却と購入時に予想以上の諸経費がかかります。税金や仲介手数料、さらに新しい家具や家電の購入費用も考慮し、余裕を持った資金計画を立てましょう。

その他のポイント

査定を受けて自宅の価格を知ることが重要です。

不動産会社に査定を依頼し、自宅の査定額を確認しましょう。自宅がいくらで売却できるかによって、今後の資金計画が大きく変わります。

また、退職金や年金、貯金はできるだけ温存しておきましょう。査定額はあくまで予測であり、実際の売却額が期待通りにならない可能性もあります。余裕を持った資金計画を立てることが重要です。

そして、もっとも重要なことは無理のないローンを組む事です。

残債が売買代金を上回る場合、住み替えローンを組むことで完済することができますが、残債分と新居の住宅ローンを合わせるため、月々の返済が厳しくなることがあります。

金融機関は80歳までの完済を条件にしていることが多く、年齢によっては短期間での返済になります。家族や金融機関の担当者と相談し、無理のない資金計画を立てましょう。

これらのポイントを参考にして、老後の住み替えを計画し、快適な生活を実現してください。

まとめ

「老後の資金を確保しつつ、住み替えで失敗したくない」と考えている方は多いでしょう。その一方で、理想の住まいへの買い換えを計画している方も少なくありません。まずは、自宅の資産価値を正確に把握し、現実的な資金計画を立てることが大切です。

住み替えを成功させるためには、実績が豊富でアフターサービスが充実している不動産会社を選ぶことが重要です。

「このび」は不動産の買取再販サービス

株式会社JR西日本イノベーションズが運営する「このび」は不動産の買取再販サービスです。

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自宅の売却に関する相談がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

本記事の監修

戸建買取再販事業部 事業部長森一也

鉄道を通じて地域の発展に貢献したいとの思いから、JR西日本に入社後、鉄道電気設備の維持・管理業務に携わる。
鉄道だけでなく幅広く地域の発展に貢献したいとの想いから、不動産の買取再販を行うこのびに参画。
鉄道業務で培った高い安全性・信頼性を自身の価値観とし、お客様との信頼関係構築を第一に、一人ひとりに寄り添った提案をすることを大切にしている。
このびでは営業・リフォーム・販売の経験を持ち、現在は事業統括・推進を行っている。
「このび」を通じてお客様に豊かな生活を提供することで、地域の発展に貢献したいと考えている。
子育て真っ盛りの1児の父。趣味はキャンプ。

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