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今回は転職に伴う持家の売却について解説していきます。
日本では転職市場の流動化に伴い、複数回転職するケースも珍しくなくなってきました。
そんな中で、転職に伴う移動が絡む場合、持ち家をどうするかという問題が発生します。
今回は以下のような流れで解説していきます。
目次
ここからは、移動を伴う転職が決まった際の家の利活用について解説していきます。
利活用案については以下の通りとなります。
転職に伴う移動で1年以内に戻る予定があれば、自宅を売却する選択は一般的ではありません。短期間の賃貸を考える場合でも、1年未満で入居者を見つけるのは困難です。
仮に短期の入居者が見つかったとしても、短い居住期間を考慮して家賃は通常より低く設定されることが多いです。さらに、賃貸市場に出すためにはリフォームやクリーニングの初期費用が必要になる場合があります。
転職に伴う移動で2年以内に戻る予定がある場合、現在の住まいに不満があれば売却を検討しても良いでしょう。
しかし、現在の住まいに満足しているなら、賃貸に出すことを考えるのが適切です。
ただし、賃貸市場において需要があるエリアでなければ、適切な借り手を見つけるのは難しいかもしれません。
短期間の賃貸の場合、通常よりも家賃を低めに設定する必要があるため、借り手を見つけにくいのが実情です。
自宅を賃貸に出す際には、以下の2点に注意すると良いでしょう。
最初の注意点は、住宅を「定期借家契約」で貸し出すことです。
一般的な「普通借家契約」では、入居者がかなり強く保護されるため、オーナーが正当な理由なく契約を終了させることが難しく、更新時にも退去を求めることができません。
移動からの帰還という理由は、退去を求める正当な事由とはみなされません。
しかし、「定期借家契約」を利用すると、契約期間が終了すると自動的に契約が終わり、入居者は退去しなければならないため、移動先から戻った際に自宅に戻る計画がスムーズに進みます。
第二の注意点は、住宅ローンを利用している場合、銀行と事前に相談することが重要です。
通常、住宅ローンは自己居住を目的としており、低金利での融資が行われています。
したがって、住宅を賃貸に出す際は銀行との契約に反する行為となる可能性があり、これが原因でローンの条件が変更され、金利が上昇することがあります。
しかし、銀行に事前に相談し、転職にともなう移動期間中の一時的な賃貸であることを説明すれば、現在の住宅ローンの条件を維持したまま賃貸に出すことが許可される場合が多いです。
転職にともなう移動で持家のエリアへの復帰が不確定な場合は、現在の住宅の売却を考慮しましょう。
特に「2年以内に戻るかもしれないが、賃貸借り手が見つかりにくい」という状況では、売却が適切です。
住宅ローンを含む継続的な支払い義務(固定資産税や都市計画税など)を考慮に入れることも重要です。
これらのコストを空き家の間に支払い続けることが可能かどうかが、売却または賃貸の決断に影響します。
特に計画の不確実性が高い移動や、賃貸市場の需要が低い地域での物件は、売却が推奨されます。
自宅を空き家にすることには以下のようなメリットがあります。
他人に貸さずにすむため、家が汚される心配がありません。
移動が続き、持ち家へのエリアへ戻ってくる場合、いつでも元の住まいに戻ることができます。
空き家のままにしておくと、大切な自宅を他人に使われることなく、お盆や年末などの帰省時に自由に使用できるため、精神的な安心感を保つことにも繋がります。
家を空き家にするデメリットは以下の通りとなります。
空き家は定期的なメンテナンスが必要です。人が住んでいないことで建物は早く傷み、数ヶ月に一度の空気の入れ替えや、定期的なメンテナンスが理想的です。
空き家は放火や不審者に狙われるリスクがあります。このため、定期的な見回りが必要になります。
旧宅の住宅ローン返済と移動先での住居費との二重負担が生じます。
住居に関する会社の支援内容を事前に確認することが重要です。
これらのデメリットから、短期間でない限り、家を空き家にすることはおすすめしません。
「普通借家契約」では借主が法的に強く保護されるため、明確な理由がない限り契約更新が可能で、借主が自発的に退去することは期待できません。
このため、更新期間が定められており終了と同時に退去が義務付けられている「定期借家契約」を利用することをおすすめします。
この契約形態なら、期間が決まっている場合等、いずれ持家のエリアに戻ってくる際に、自分の住宅に確実に戻ることができます。
賃貸に出して入居者が見つかれば、得られる家賃収入を住宅ローンの返済に使用することが可能です。
これにより、転職に伴う移動先での家賃と自宅のローン返済の二重負担を軽減できます。
更に遠方への転勤があっても、住宅ローンの支払いを続けつつ、自宅を保持し続けたい場合には有効な選択肢です。
「定期借家契約」を利用して貸し出す場合、契約更新のないメリットがありますが、予定外に早く移動して戻ってくる場合でも、契約期間内に退去を要求することはできません。
たとえば、5年の契約で貸し出したものの、2年で転職に伴う移動が終わるといった場合、自宅に戻れないことがあります。
短期契約を提供することも一つの解決策ですが、短い契約期間では入居者が見つからないリスクが高まり、家賃も市場価格より低く設定する必要があります。
これにより、投資収益が減少するデメリットが生じることもあります。
入居者を慎重に選んだとしても、その人物の本性や将来の行動を完全に予測することは不可能です。
家賃の未払いや近隣住民とのトラブルなどの問題が発生する可能性もあるため、それらのリスクを理解しておくことが重要です。
これらの問題は不動産管理会社が対応してくれることもありますが、物件オーナーとして完全に関与しないわけにはいきません。
売却に伴い、住宅の購入機会となり住み替えの良いきっかけになります。
しかし、転職直後の住宅購入は慎重に検討すると良いでしょう。
原則として、転職は住宅ローンの審査に不利に働くケースがほとんどです。
これは、住宅ローンの審査において、多くの金融機関が申込者の勤続年数を重視するためです。
実際、国土交通省が行った「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査(*)」によれば、回答した全国約1,100の金融機関のうち93.2%が「勤続年数」を審査項目としています。
ただし、転職直後でも住宅ローンの審査を絶対に受けられない、あるいは通らないというわけではありません。
例えば、転職によって前職よりも収入が大きく増えた場合や、中小企業から大手企業に転職した場合などは、審査で有利になる可能性も考えられます。
しかし、これはあくまで例外であり、原則的には、転職直後は「勤続年数が短い=収入が安定しておらず、返済ができなくなるリスクがある」とみなされるため、住宅ローン審査に通りづらいと考えておいたほうが良いでしょう。
参考:国土交通省 令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書
賃貸に出す場合などは入居者管理などがあり、特に賃料収入がある場合には税金申告等も必要になるため、売却することでそれらの煩雑な業務は無くなります。
移動先の物件を保有もしくは賃貸しないことで、固定資産税や都市計画税、火災保険料などの維持費がかからないという点もメリットの一つと言えるでしょう。
住宅ローンの残債を清算し、新生活の資金として活用できるため、住み替えを行う場合には転職のタイミングで売却することが一般的と言えるでしょう。
売却にはデメリットも存在し、その主なものの一つが、愛着のある自宅を手放すことです。
しかし、家族の状況が変わるにつれて住まいのニーズも変化するため、長期的に見て常に後悔することは少ないです。
また、引っ越しには業者選定や転居手続きなど多くの作業が必要です。
転職に伴う売却では、これらの作業が売却活動と重なることもあります。
自宅を最大限の価値で売却するには、地元の複数の不動産会社に査定を依頼することが効果的です。
家の売却においては大きく分けて以下の2つの流れで売却を進めていきます。
上記の売却方法について、売却の手順は以下の通りとなります。
売却の手順 | 仲介経由で売却する場合 | 買取業者に売却する場合 |
---|---|---|
相場を調べる | 約1週間 | |
価格査定を行う | 約1~2週間 | |
媒介契約の締結する | 約1週間 | なし |
売却活動を始める | 約3カ月~半年 | なし |
売買契約を締結する | 約2週間~1カ月 | |
決済・引き渡し | 約2週間~1カ月 | |
全体期間 | 約4~8カ月程度 | 約1~2カ月程度 |
実家の売却において買取業者に売却する場合、仲介経由で売却する場合の第三者の買主を探す工程が不要となるため、媒介契約締結や売却活動という作業が省かれることが分かります。
次に、それぞれの売却の場合におけるメリット・デメリットは以下の通りとなります。
仲介経由での売却 | 買取業者に売却 | |
---|---|---|
メリット | 買取業者に比べて高価で売却が出来る | 短期間で売却が出来る 内覧対応が不要 契約不適合責任が免責される場合がある 仲介で売却しにくい物件も買い取ってもらえる 周囲に知られずに売却活動が出来る 突然の契約解除の可能性が低い |
デメリット | 売却までに時間が掛かる 複数の内覧対応が必要 契約不適合責任が免責されない 仲介経由では売却が難しい物件もある 周囲に売却活動が気付かれる可能性がある 突然の契約解除の可能性がある | 仲介経由での売却に比べて安価になる (仲介売却価格の6~8割程度) |
向いている人 | 出来るだけ高く売却したい人 売却を急いでおらず、時間をかけることが出来る人 築浅、駅近、設備が最新等の人気物件の条件が揃っている物件を売却したい人 | 転職、転勤、離婚、相続があり売却を急いでいる人 現金がすぐに必要な人 建物が古く、瑕疵がある等の買い手が付きにくい条件の物件を売却したい人 手間をかけずに売却したい人 周囲の人に売却を知られたくない人 仲介経由では買い手が見つからなかった人 |
最後の向き不向きの欄にある通り、高い価格で売却したい場合には不動産仲介、早く売却したい場合には買取業者に売却という流れになることが理解できたかと思います。
仲介を通じた売却が時間を要する理由には、売り出しの準備、買主を見つけるための販売期間、売買契約の日程調整などがあります。
特にこの買主を見つけるための販売期間が重要であり、そもそも物件情報を買主候補にリーチするための広告を打ったり、買主候補の内覧対応を行い、売買価格を合意するまでが一番重要で一番時間がかかる作業となります。
全体としては数週間の準備期間、3ヶ月の販売期間、契約から引き渡しまで1ヶ月が必要で、順調に進んだ場合でも合計で約4.5ヶ月かかることが見込まれます。
また、物件の状態が良くない場合や売出価格が適切でない場合は、売却までに半年以上かかることもあります。
なぜ、買取業者へ売却すると仲介に比べて安価になるのか理由は以下の3つが挙げられます。
不動産会社は営利を目的としており、買取った不動産を再販することで利益を得ます。
例えば、市場価格が5,000万円の物件を不動産会社が7割で購入し、その後再販する場合、1,500万円の利益が生まれます。
ただし、この利益には売却までの維持管理費やリフォーム費用が含まれており、実際の利益はこれらの経費を差し引いた額となります。
また、不動産会社は買取によるリスクも負います。
買取した物件の再販を前提にしており、一時的に物件を所有するため、すぐに売れない場合は固定資産税などの経費がかかります。
これらの負担が買取価格を抑える要因になります。
買取では仲介手数料が発生しないため、不動産会社は市場価格より低い金額での買取を行い、利益を確保します。対照的に、仲介では売主や買主から手数料を受け取るため、その金額が不動産会社の利益となります。しかし、買取の場合は、利益は買取価格と実際の売却価格の差額のみです。
いかがでしたでしょうか。
転職にともなう移動が発生する場合、自宅をどうするかという問題は避けては通れません。
移動の距離や期間に応じて、空き家にするか賃貸にするか売却するか非常に悩ましいところですが、特に期間について2年以上という事であれば、賃貸か売却が現実的な選択では無いでしょうか。
売却するならば、いくらぐらいで買い取ってくれるのか分からないという場合に、株式会社JR西日本イノベーションズが運営する不動産の買取再販サービス「このび」を利用してみてはいかがでしょうか。
「このび」では査定から売却まで最短で1カ月で手続きを行うほか、築古物件や仲介経由では買い手がつかなかった物件でも買取を行うことが出来ます。
自宅の売却に関する相談がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
鉄道を通じて地域の発展に貢献したいとの思いから、JR西日本に入社後、鉄道電気設備の維持・管理業務に携わる。
鉄道だけでなく幅広く地域の発展に貢献したいとの想いから、不動産の買取再販を行うこのびに参画。
鉄道業務で培った高い安全性・信頼性を自身の価値観とし、お客様との信頼関係構築を第一に、一人ひとりに寄り添った提案をすることを大切にしている。
このびでは営業・リフォーム・販売の経験を持ち、現在は事業統括・推進を行っている。
「このび」を通じてお客様に豊かな生活を提供することで、地域の発展に貢献したいと考えている。
子育て真っ盛りの1児の父。趣味はキャンプ。