家を売ることになった!他の人はどんな売却理由で家を売却している?告知義務も合わせて解説

これから家を売る方の中には、他の売主がどのような理由で家を売っているのか気になる方もいるでしょう。

また、ネガティブな売却理由を買主にどのように伝えるべきか悩むこともあるかと思います。この記事では、家を売る代表的な理由や、買主への告知義務、理由を伝える際のポイントについて解説します。

不動産売却手続きの流れ

最初に不動産売却の流れについて解説していきます。

不動産の売却は、情報収集から売却後の確定申告まで、以下の8つのステップで進行します。

情報収集

最初に、売却予定の不動産がどれくらいの価格で売れるのか、周辺の相場を調べましょう。

不動産の価格はエリアによって異なるため、近隣で売却されている物件情報を集め、相場を把握することが重要です。売却予定の不動産と類似の条件の物件や土地がいくらで取引されているかを確認することで、適正価格を見極めることができます。不動産サイトで周辺の相場を検索してみるのも一つの方法です。

売却相談

不動産の相場を理解したら、買い手候補の募集や売却の手続きを行う不動産会社に相談します。

相談の際には、売却に向けた大まかな計画を立てておくことが有益です。事前に決めておくべき項目には、売却スケジュール(期限の有無、迅速に売りたいか、時間をかけても良いかなど)と、売却希望価格(最低でもこの金額で売却したいなど)があります。

売却物件の査定

不動産会社に相談すると、担当者が不動産の査定を行います。この査定は「いくらで売れるか」の目安を示します。

査定方法には、机上査定と訪問査定の2種類があります。机上査定は、実際の物件を見ずに、概要や近隣の取引事例を基に査定額を算出する方法です。訪問査定は、物件の状態や周辺環境を現地で詳しく確認する方法で、より精度の高い査定結果が得られます。

査定額は不動産会社によって異なるため、正確な査定を求めるには、複数の会社に相談し、信頼できる会社に査定を依頼するのが賢明です。

媒介契約

査定額やサービスを比較した後、不動産会社を選び、買い手募集の契約を結びます。これを媒介契約と呼び、売り出し価格や不動産会社に支払う報酬、売却活動の方針などを決定します。

契約には3種類あります。1社のみ任せる場合は「専属専任媒介契約」または「専任媒介契約」、複数社に依頼する場合は「一般媒介契約」です。

専属専任媒介契約

1社に全ての売却活動を任せる契約で、他の不動産会社に依頼できません。売主自身が買主を見つけても、契約は仲介業者を通じて行います。不動産会社は確実に手数料が得られるため、積極的に買い手を探してくれるでしょう。活動内容は1週間に1回以上報告されます。

専任媒介契約

専属専任と同様に1社に任せますが、売主が直接買主を見つけた場合には直接契約できます。活動内容は2週間に1回以上報告されます。

一般媒介契約

複数の不動産会社に任せることができ、より広範囲に買い手を探せます。ただし、手数料は成立した会社のみが得られるため、積極的な営業が期待できないこともあります。報告義務はなく、売主から確認が必要です。

売却活動

媒介契約後、不動産会社は買い手募集の広告を開始します。不動産の情報が公開されると、購入希望者が見学に訪れます。居住中の内覧には売主が立ち会うのが一般的です。見学希望は週末が多いため、予定がある場合は事前に担当者と調整しましょう。内覧時には玄関や水回りを念入りに清掃し、室内を明るく整えると良い印象を与えます。庭も片付けておくと印象が良くなります。

購入申込~売買契約

購入希望者が現れたら、「購入申込書」を受け取り、希望条件(価格、支払い、スケジュール、融資など)を検討し、不動産会社を通じて調整します。合意に達した場合、売買契約の準備を進め、契約手続きに移ります。契約書には、価格や物件情報、引渡し時期などが明記されます。通常、売主、買主、双方の仲介業者が集まり契約を行います。

決済・引渡し

売買契約後の決済では、手付金を差し引いた残りの売買代金を受け取り、引渡し日を基準に固定資産税やマンションの場合は管理費などを精算します。決済が完了したら、不動産の引渡しを行います。

不動産に住宅ローンの残債がある場合は、金融機関の抵当権を抹消する手続きが必要です。この手続きには時間がかかるため、事前に金融機関に確認しておくことが重要です。決済時に行う所有権移転登記などは、司法書士に依頼します。

引渡し日が決まったら、それに合わせて引越し業者を手配しましょう。

確定申告

不動産を売却すると、翌年に確定申告が必要になる場合があります。確定申告は、不動産売却で利益を得た場合に行い、利益に対して譲渡所得税を納めます。

居住用不動産(マイホーム)には、3,000万円の特別控除や、所有期間が10年以上の場合、3,000万円控除後の譲渡所得に軽減税率が適用される特例があります。また、不動産売却で損失が出た場合、一定の条件を満たせば、その損失を他の所得と損益通算し、翌年以降3年間にわたり総所得金額から繰越控除が可能です。結果として、納税額が減ることがあります。

不動産売却の理由

戸建てやマンションなどの住まいを手放す理由は人それぞれです。

その中で主な売却理由を解説していきます。

住み替え

最も多い理由は「住み替え」です。より良い住環境を求めて、家族構成や生活の変化に応じて新しい住まいを購入することが一般的です。

相続

「相続」も不動産売却の中では多い理由の一つです。譲渡された不動産を維持できない、または既に別の住まいがあるなどの理由で売却されます。

ローン返済が難しい

「住宅ローンの返済が困難になった」ことも不動産売却の多い理由の一つです。収入や健康の問題で返済が難しくなった場合、早めに売却する選択が取られることがあります。

離婚

「離婚」が理由で売却するケースも最近では少なくありません。財産分与のため、不動産を現金化することがよくあります。

資金調達

「資金調達」が理由で、事業資金や生活費の確保のために売却するケースです。不動産会社による買取制度も利用できます。

不要物件の処分

維持が困難な物件を売却することで、管理負担を減らすことができます。

転勤や転職

「転勤や転職」が理由で売却する人もいます。勤務地の変更により新天地で生活するために家を手放すことがあります。

同居や介護

「同居や介護」を理由に売却するケースもあります。二世帯住宅の建設や介護費用のために売却されることが多いです。

資産整理

老後の「資産整理」が理由で、相続トラブルを避けるために不動産を現金化する選択が取られます。

結婚

最後に「結婚」です。結婚後の生活スタイルに合った新しい住まいを購入するために、現在の住まいを売却します。

それぞれの理由は、売却の背景にある様々な事情を反映しています。

家を売る理由が不動産売却に与える影響

家を売る理由によっては、不動産売却が不利になることがあります。買主が敬遠する理由では価格を下げざるを得ず、売主が急いで売却することで、価格や条件を妥協することもあります。

買主が嫌がる理由の場合

設備の不具合や耐震性の問題、騒音や近所トラブル、自殺などのネガティブな理由は、売却に影響を与えます。納得する買主が見つからず、成約までの期間が延びたり、交渉で価格に影響が出たりすることがあります。心理的な理由であれば気にしない買主もいるかもしれませんが、家の品質やトラブルが原因の場合は価格での納得が必要になることがあります。

売却を急がなければならない理由の場合

価格を下げてでも早急に売却する必要がある場合、売主側の事情が関係します。相続税の支払いや、離婚による早期解決を目的とする売却では、価格を下げてでも売却することがあります。売主が納得している場合、値下げしての売却も成功といえるでしょう。

ネガティブな売却理由の伝え方

ネガティブな理由は開示したくないのが本音ですが、告知義務がある場合もあります(宅地建物取引法第47条)。伝える必要があるかどうか、告知義務に当たるかを考えてみましょう。

離婚の場合

離婚はプライベートな理由で、必ずしも買主に伝える必要はありません。新しい生活を始めたいと伝えればよいでしょう。ただし、離婚を縁起が悪いと考える買主もいるかもしれません。聞かれた場合には正直に話すと良いでしょう。

経済的な事情の場合

経済的な理由もプライベートで、告知義務はありません。他に仕事や家族の事情があるなら、無難な理由を伝えて問題ありません。抵当権の解除が必要な場合は、契約書に記載する必要があります。

事故の場合

事故物件に該当する場合は、重要事項説明書に記載して伝えなければなりません。自然死や病死は告知義務に該当しないとされていますが、死後の状態によっては義務が発生することがあります。

相続の場合

相続による売却は一般的な理由で、特にネガティブな印象を持たれることは少ないです。申告期限がある場合は、買主の協力が必要になることがあります。

近隣トラブルの場合

人間関係によるトラブルは伝える必要はありませんが、騒音や越境などの問題は隠していると後のトラブルに発展しやすいです。実際に買主に見てもらい判断を仰ぐのが良いでしょう。

老朽化の場合

老朽化や設備の不具合は、重要事項説明書に記載するべきです。売却時に気になる点は不動産業者に相談し、内見時に買主に説明することが重要です。

売却の成功に必要なのは適切な情報開示

売主としては、物件に関する情報を適切に開示し、円滑な取引を目指すことが大切です。重要な不具合は、後のトラブルを避けるためにも、事前にしっかり説明しましょう。特に、宅建業法や民法に関わる事項については、不動産の専門家に相談して、開示の方法を検討することが必要です。

告知義務を遵守する

宅建業法第47条に定められた「告知義務」がある事項は、必ず開示しなければなりません。これには、設備の不具合などの物理的瑕疵、法令上の制限といった法律的瑕疵、騒音や臭気などの環境的瑕疵、事故物件などの心理的瑕疵が含まれます。これらを隠して売却すると、告知義務違反となり、慰謝料や損害賠償、契約の解除請求などの責任を負うことがあります。

契約不適合責任について

告知義務違反に加え、民法上の契約不適合責任も問われる可能性があります。2020年4月に施行された改正民法では、契約内容に合致した物件が引き渡されたかが重視され、売主の責任が問われることになりました。不具合があれば、買主は売主に対して補修、代金の減額、損害賠償、契約解除を請求できます。

買主が必要な情報を伝える

不動産売却に慣れていない方も多く、情報の取捨選択は難しいものです。すべてを正直に話すよりも、買主が必要とする情報を丁寧に説明する姿勢が重要です。買主にとって、離婚や経済的事情などは知らなくてもよい情報かもしれません。告知義務に該当しない情報は、買主に尋ねられた際に柔軟に伝えれば十分です。

まとめ

これまで、家を売る理由について解説しました。売主によって戸建てやマンションの売却理由はさまざまですが、離婚や相続といった個人的な理由には告知義務はありません。ただし、雨漏りやシロアリの発生などの不具合については、必ず告知が必要です。

売却を検討される際には、まずは業者に相談して売却金額のめどをつけることをお勧めいたします。

株式会社JR西日本イノベーションズが運営する「このび」は不動産の買取再販サービスです。

売却において、このびでは査定から売却まで最短で1カ月で手続きを行うほか、築古物件や仲介経由では買い手がつかなかった物件でも買取を行うことが出来ます。

自宅の売却に関する相談がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

本記事の監修

戸建買取再販事業部 事業部長森一也

鉄道を通じて地域の発展に貢献したいとの思いから、JR西日本に入社後、鉄道電気設備の維持・管理業務に携わる。
鉄道だけでなく幅広く地域の発展に貢献したいとの想いから、不動産の買取再販を行うこのびに参画。
鉄道業務で培った高い安全性・信頼性を自身の価値観とし、お客様との信頼関係構築を第一に、一人ひとりに寄り添った提案をすることを大切にしている。
このびでは営業・リフォーム・販売の経験を持ち、現在は事業統括・推進を行っている。
「このび」を通じてお客様に豊かな生活を提供することで、地域の発展に貢献したいと考えている。
子育て真っ盛りの1児の父。趣味はキャンプ。

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